第12章 転機
間近に迫ったカルファの顔と凄みのある声に、は半泣きになる。
「ない……です」
カルファはの答えを聞くやいなや椅子から立ち上がる。
全く湯気の立ち昇らない生ぬるい茶を残し、の手をしっかりと掴んだ。
「ならなんにも問題ねーな、来い。お試し期間と行くか。売り出すのは早い方が良いからな! これから実際に娼館に行って説明するから、そんで客を取ってもらって」
の身体にゾワゾワと鳥肌が立つ。
「……いっ、嫌!やっぱり絶対嫌!」
短く叫び、カルファの手を払い除けた。
「は?」
「やだやだっやだやだやだー!わたし、もう絶対嫌ですぅ!誰か助けてえええ!」
の大声にカルファの顔色が変わる。
「おい馬鹿!あんまりでっけー声で騒いだらっあいつが」
の悲鳴を聞きつけたネアがカルファの元へと素早く這い寄る。
「来……!」
目にも止まらぬ早さで絡みつき、カルファの全身を滑らかな下肢で締め上げた。
「あぁああああ!」
カルファの絶叫がサンルームに響き渡る。
異常事態を呆然と見つめる。