第11章 主従
「おっ、おい! 貴様、勝手に城に入るなと言っているだろ! いくら名家の執事と言えどやって良い事と悪い事がある!」
「止まれ! 其方はアルド様の部屋だぞ! 無関係の者は断じて立ち入り禁止だ! それに、今は関係者ですら立ち入りを制限されているのだぞ!」
その時、扉の向こうから騒々しい声と足音が響く。
どうやら城内に侵入者が現れたようだ。
必死に引き止める門兵の声も虚しく、
「退いて下さいますか? 我が国の国民が此方に監禁されているとの情報があるのですよ」
の耳に聞き慣れた淡々とした声が届く。
早足な革靴の音がアルドの部屋の前で止まる。
「様ッ!」
扉がけたたましく音を立てて開き、サピルーンが勢いよく中に駆け込む。
の元に跪き、ほっとしたように見上げた。
「やはりここにいましたね」
は急いで身体をシーツで隠す。
先程までの淫靡な雰囲気は無く、ただただ驚いた顔で慌てふためく。
「さ、サピルーンさん……! どうして」
「以前カルファ様と様の部屋に立ち入った時、見慣れない花が飾られているのを見つけました。調べた所、我が国には自生しない珍しい花でした。そして、この国原産の植物と突き止めたのです」
「え……あ」
なんでそんなこと、と言いたげな。
裸で唖然とするアルドとヴィーク。
そんな三人の様子にお構い無しに、サピルーンはつらつらと言葉を重ねる。