第9章 残骸
その後もの元に足繁く通うアルド。
評判の菓子や流行りの本、美しい小物などを手土産に持ち、との会話を楽しんでは帰っていく。
滞在する時間こそ短いものの、ささやかな交流を積み重ねるうちに、アルドの訪問はの楽しみの一つになっていった。
そんなある日、ぷつりと交流が途切れた。
窓を叩かれることが無くなってから、幾日か経つ。
「……どうしたんでしょうか」
すっかり萎れてしまった花瓶の花を見つめ、寂しそうに呟いた。
「手紙でも書いてみようかな……アルドさんは王様だし、住所もすぐに分かるはずだよね」
そう独りごち、机に向かう。
可愛らしい便箋を取り出し、ペンを握った所である事をふと思い立った。