• テキストサイズ

首輪をつける

第8章 待て


アルドが大きくガッツポーズをする。

「よっしゃあ!」

「ま、まっ、何言って……!」

カルファは目をにんまりと細め、の肩にぽんと手を置く。

「貧乏からしたらとんでもねえ玉の輿じゃねえか、上手いことやってこいよ」

「ちょっ」

を置き去りにして、トントン拍子に話が進んでいく。

アルドは満面の笑みで、

「決まりだな! さあお嬢さん、俺様と忘れられないアバンチュールを」

「アルドおおぉッ!」

街中に怒声が響き渡る。

状況についていけない、笑顔で送り出そうとするカルファ、激しくしっぽを振るアルド。

全員がぴたりと動きを止め、声の主を見つめた。

「うげっ! ヴィーク!」

アルドの顔色が変わる。

視線の先に立っていたのは、美しい黒豹の男だった。

グレーがかったアルドの毛並みとはまた違った短く艶やかな漆黒の体毛。

アルドと張り合う逞しい体躯。

カッチリとした軍服のような礼服を纏い、緑色の瞳でアルドを睨みつけている。

「アルド貴様……何故この時間に、こんな場所にいる?」

こめかみをピキピキと脈打たせながらゆっくりと距離を詰める。
/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp