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首輪をつける

第2章 競り市


日常生活の中心である町から離れ、薄暗い裏路地を抜ければそこはすっかり荒れ果てていた。

地べたに御座を引いて座り込む老人。

用途不明の薬を買ってくれる鴨を今か今かと待ち望んでいる。

壁を背にして立ち、俯いたままのワンピースの少女。

男を目にすると顔を上げてまとわりつき、慣れた手つきで安宿へと誘う。

「舐めてんのかコラァ! てめえちょっと顔貸せ!」

明らかにカタギではない男がくたびれた女性を恫喝し、怒鳴り声が響いた。

誰も見ぬ振りをしている。

いや、自分のことで手一杯なのだ。

そんな街を、肩で風を切って歩く猫の獣人とその従者であろう人間の青年。

猫の獣人はパリッとノリの効いた真っ白なシャツと漆黒のシャツを身にまとい、その上から質の良いコートを着込んで、如何にも颯爽としている。
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