第6章 蛇のように執念深い
無意識に、二叉に分かれた真っ赤な舌先をチロチロと揺らしては、の頬や髪を愛おしそうに触れる。
下半身をうねらせ、音も無くベッドに這い上がった。
古いベッドが軋み、は眉根を寄せる。
まだ微睡んだ状態で、うっすらと目を開いた。
「ん……誰……?」
自分の上に馬乗りになる人物を目で捉えた瞬間、青年の肉体が身体全体に絡みつく。
「んッ……!?ん、んんっ!んー!ふっ……!ぅ……!」
全身をギチギチと締め上げられ、くぐもった悲鳴を漏らす。
青年は困ったように眉尻を下げ、の耳元に顔を寄せた。
「ダメ……声出しちゃ、だめ、猫くるから……」
「……ね……こ……」
の脳裏にカルファの顔が浮かぶ。
泣きそうな顔でこくこくと首を振ると、少しばかり締め付けが緩んだ。
恐怖に怯えながら、懸命に息を吸う。