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首輪をつける

第5章 現実の切れ間で


「おい」

「なんですか」

ムスッとした顔で睨むと対照的に、カルファは出窓のスペースから楽しそうな声音で

「今度は背中を撫でろよ、腰の辺りな?」

くいくいと腰を突き上げた。

期待した眼差しでを見上げる。

「…………」

の口からため息がひとつ漏れた。

結局カルファが満足するまで撫でくりまわし、新しい噛み跡をひとつ作り、

「じゃーもう行きますよー、もう二度とどうでもいいことで呼ばないでくださいねー」

はバタンとドアを閉めた。

カルファは既にから興味を失ったようであっさりと解放される。

は痛む指先を反対側の手で押さえる。

「全くもう……猫は気まぐれって本当ですね」

そう独りごちながらとぼとぼと歩いていると、

「ん?」

ふと視線を感じた気がして後ろを振り返る。

カルファの部屋の扉は自分が閉めたそのままに硬く閉ざされており、小さく首を傾げた。
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