第5章 現実の切れ間で
「もー……なんで毎度毎度最後は噛もうとするんですか」
既にカルファは身を起こし、寝起きの顔を手櫛で整えながら平然と答える。
「貧乏が撫ですぎっからだよ」
「カルファ様が最初に撫でろって言ってくるんじゃないですか……だから撫でてるのに、いきなり……」
ブツブツと文句を垂れるにお構い無しに、カルファはソファーから飛び降りる。
カーテンを全開にした大きな出窓を見据えて飛び乗り、を見つめる。
身を屈めながら、あっけらかんとした様子で
「だからー、難しいこと言ってねえだろ? 適切な頃合で止めろ。俺が満足して、かつ不快にならない程度で撫でろ」
「口で止めてくださいよ!」
「口で止めてんじゃねえか」
そう言い牙を見せつけてくるカルファには絶句する。
「んもー! 話にならない」
プンプンと怒りながら部屋を後にしようとするをカルファが呼び止める。