第5章 現実の切れ間で
当初は服に着られているようであった正絹のワンピースもすっかり板につき。
は掃除婦や下働きではなく、カルファの遊び相手として気ままに日々を過ごしていた。
「失礼致します」
ノックすることなく、ほとんど挨拶と同時にドアを開く。
「ン」
カルファはソファーに寝転がり、窓から差し込む日光を全身に浴びて微睡んでいた。
うーんと伸びをし、ゆっくりと目を開く。
仏頂面で立っているを捉えると、更に表情を緩ませる。
「……遅かったな。もっと早く来いよ」
「これでも忙しいんですよ。掃除とか洗濯とか。それに、わたしはカルファ様に呼ばれたらすぐに駆けつけてます」
はズカズカとソファーに進み、カルファの頭側の端に腰を下ろす。