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首輪をつける

第4章 住めば都と言うけれど


「あ……」

そして廊下の隅に、誰からも忘れ去られたような小さなドアを見つけた。

豪華絢爛な建築様式の中で異彩を放つドアは古びており、形まで歪んで見える。

「……ここだ」

はぽつりとつぶやくと、唖然とする二人を置いて、吸い込まれるようにドアに近づく。

錆びたドアノブを捻る。

「うっわ埃っぽ……ッしゅん! な、なんだここ……」

ひょこっと中を覗き込んだカルファは鼻をひくつかせ、思いっ切りくしゃみをする。

はふらふらと中に入れば、それだけで床が軋む。

カビっぽいシーツが敷かれた古びたベッドを見つめ、いつのものか分からない年代物の箪笥、腐食しかけた椅子と机に目を通す。

黄ばんだ本の詰まった本棚、誇りを被った姿見。

申し訳程度に付いた小さな窓は建付けが悪いのか窓枠が歪んでいる。

はおどろおどろしいシミが付いた壁に寄りかかった。

そしてうっとりとシミに手で触れながら、

「ここがいい、です……」

目を輝かせながらカルファとサピルーンを見据えた。
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