• テキストサイズ

首輪をつける

第19章 背徳


「美しい」

サピルーンは満足気に見下ろし、微笑する。

汗と涙でグズグズになったを抱き上げる。

「私が貴方の目を覚まさせてあげますね? 人間と獣の間に信頼だとか、愛だとか。存在しないってことを教えてあげます」

「……う……」

は濁った目でサピルーンを見つめる。

薬でぼんやりとした頭で、小さく首を横に振る。

「……貴方は優しいから情に絆されているだけです。もし、誰か獣に心が動かされていたとしても。ほんの、一時の気の迷いです」

は小さく唇を開くが、

「ちが……」

「彼らに貴方は相応しくない。そうですね?」

サピルーンはの蚊の鳴くような掠れ声に言葉を重ねて微笑む。

の頭を優しく撫でた。

「人間は人間同士で恋に落ち、その愛に生きるのが自然な生き物でしょう。これは摂理ですよ」

「あ……あ」
/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp