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首輪をつける

第18章 話して離して放して


は今日も、客を迎え入れる為にドアを開く。

僅かな期待を持ってドアノブを捻ったが、そこに居たのは見たことの無い男だった。

「初めまして……」

は目の前の青年に優しく微笑みかける。

青年はほっそりした身体に不釣り合いな程大きなトレンチコートとダブついたジーンズを身に纏い、立ち竦む。

長い袖が、くたびれた靴が、手と足を隠す。

それに加えて顔を完全に覆い隠す大きなマスク。

見た目からは、種族はおろか性別も分かにくい。

青年は更にキャスケットを目深に被っており、つばから僅かに除く目元すら真っ直ぐな黒髪が隠す徹底ぶりだった。

「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」

青年はぶっきらぼうに呟き、視線を落とす。

「……トロ」

「トロさん。今日はよろしくお願いします」

トロは恭しく頭を下げるを見、

「別に、よろしくなんてしなくていいよ」

荒く吐き捨てた。
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