第16章 二匹の獣
アルドはとヴィークを見比べ、
「……ちゃんと、お前の功績に免じて今回は許してやる。今度こそ二度は無いと思えよ」
構えていた鞭を片付けた。
「はい……様、アルド様……感謝致します」
アルドが張り詰めた表情を解くと同時に、に飛びついた。
「わっ!」
「ちゃん大丈夫か!? 悪い……! 痛むだろ」
「本当に申し訳ございません……様、お怪我はありませんか」
ヴィークも平伏を止め、を心配そうに見下ろす。
は二人の変わりように目を白黒させながらも、こくこくと頷く。
「あ……大丈夫です、ちょっと、びっくりしただけで……」
ジンジンと痛む首筋を手で触れ、困ったように笑った。
アルドは深くため息を吐き、隣で平身低頭な様子のヴィークを横目で見る。
ヴィークの尻尾は項垂れたように下がっていた。
「……ヴィークはこれがあるからな。子作りとなるとスイッチ入っちまって、今みたいにメスの首を噛むんだ」
「う……」
「ま、お前の唯一の悪癖って所だな」