第16章 二匹の獣
荒っぽく息を吸う回数が増えるのに従い、胸を満たすの匂い。
意識が朦朧とし、噛み付く歯に力が入る。
男らしい喉仏の貼り出た喉から紡がれる別人のような唸り声。
本格的な交尾の体制に入ろうと、の首筋を噛み締めのしかかる。
体重を掛けて押し潰し、本能のまま、の割れ目に切っ先を擦り付けた。
「……出やがった」
今度はアルドが顔を顰める番だった。
腰をカクカクと前後に振り始めるヴィークを呆れたように見る。
「おいヴィーク。いつ俺様がそんな事をしていいって言ったんだ? 今すぐ、ちゃんから離れろ」
筋肉の盛り上がった逞しい背に話し掛ける。
ヴィークはアルドを振り返ると、
「ぐぅぅゥ〜……ッ!」
守るようにを強く抱え込み低く唸った。
その口元からは大きな牙が覗いている。
「……聞こえないのか?」
アルドは顔色一つ変えずに吐き捨て、素早く脱ぎ捨てた外套に手をやる。
「俺様は二度は言わん」
「ッ……!」
取り出した短鞭を天高く掲げ、隆起したヴィークのモノと膨らんだ玉に向かって、思いっ切り振り下ろした。