第16章 二匹の獣
ヴィークの肩がぴくりと跳ねる。
アルドの命じられるがまま熱く滾った身体を持ち上げ、しなやかな歩みで進む。
二人の前に立つと、無言でを見据えた。
目の前のヴィークの瞳には、今までにあった動揺や恥じらいの色は無い。
ただ只管に熱の篭った視線をに浴びせ、張り詰めた肩を上下させる。
が思わず怯んだ一瞬を突き、見るも止まらぬ速さで二人の乗ったベッドに飛び乗る。
「きゃあッ!」
に狙いを定めてにじり寄ると、
「ヴィークさん……っ、う!」
慣れた調子でうつ伏せにさせる。
そのまま飛び乗るようにしての上に跨る。
両腕での背中を引き寄せ、脚で押さえ付けた。
しっかりと背後を取ったヴィークの荒々しい息がの首元に掛かる。
「ひ……いぃッ!」
むず痒さに身体を捩った瞬間、鮮烈な痛みに変わっていた。
「フー……ッ」
ヴィークはの首筋に歯を立てていた。
鋭く尖った白い歯が薄い皮膚にめり込む。
力一杯噛む寸前の状態で、フーフーと肩を震わせ、荒い呼吸を繰り返す。
もどかしそうに腰を動かした。
「は……ッ、はっ、ハアッ……」
「あっ、あ! やめ、やめって……下さい……!」
ヴィークはの身体を抑え込んだまま、表情を歪ませる。
興奮と混乱に息を弾ませた。