第3章 子猫のワルツ
「あ……」
申し訳なさそうにの顔を見ると、彼女も同様に眉を八の字にしてぎこちなく笑った。
「……い、いいですよ、教えても、別に……サピルーン……さん」
サピルーンが小さく口を開く。
「、様、です……」
久方振りにその名前を口にし、サピルーンの心は甘酸っぱいときめきと同時に、信じられない程の胸騒ぎに襲われていた。
カルファはそんなことを知る様子もなく、へらっと肩を揺らして笑う。
「ふーん、まあ貧乏でいいわ」
「じゃあなんで聞いたんですか!」
「すげーな、そのツッコミ反射神経」
「ツッコミ反射神経って何!? わたしは別にツッコミを入れているつもりは……!」
やいのやいのと言い合う二人。
サピルーンはその姿を複雑な表情で眺めている。
そして決意したように口を開いた。