第16章 二匹の獣
「え……」
目をぱちくりと瞬くから、奥で待機しているヴィークへと視線をやる。
「この前はいい所で邪魔が入っちまったからな。ちゃんの従者さんはうちのといい勝負するぜ」
「どういう意味だ、アルド」
アルドを軽く睨むヴィークの言葉を聞き流し、
「ヴィークも残念だっただろ?」
軽口を叩いて上着を脱ぐ。
「ヴィークで存分にストレス発散したらいい」
脱いだ服をヴィークに手渡し、に楽しげな視線を投げた。
返事に迷うがヴィークの方を見ると、ぴくっと肩を跳ねさせる。
恥ずかしそうに口を開いた。
「アルド様は言っても聞くような方じゃありません。自分の素晴らしい思い付きを成し遂げる為に私が必要ならば、それに従うのみです。様が私の晒す醜態で、日々の苦しみを癒せるのであれば……」
ヴィークは凛とした目でを見つめ、頭を下げる。
「どうぞ、気が晴れるまで私めをいたぶって下さい。身に余る光栄でございます」
「ヴィークもこう言ってるんだ、遠慮することはない」
アルドの後押しもあり、は小さく頷いた。