第16章 二匹の獣
が納得するの裏腹に、アルドの顔は曇る。
「……だが他国民の拉致として国際問題になりかねん」
難しい表情でぽつりと洩らした。
アルドの立場を考えると至極当然だろう。
はむしろ、ここまで二人が動いてくれたことに驚きを隠しきれない。
「そんな顔しないでください……わたしの為に、本当にありがとうございます。もう十分で」
固辞するをアルドがぎゅっと抱きしめた。
アルドは腕の中に包み込まれたの頬に触れる。
「俺様をここまで夢中にさせたのはちゃんが初めてなんだぜ? それに、俺様の辞書に諦めるという言葉はない」
視線を合わせ、堂々と言い切った。
「必ず出してやるから……」
大きな手での手を撫で、小指に触れ、
「今日は仕事を忘れて楽しもうぜ?」
にっと笑った。