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首輪をつける

第16章 二匹の獣


「……随分とあいつにご執心だな。貧乏のどこがそんなにいいんだか分かんねー」

「質問に答えろ」

カルファが無表情に変わる。

「気に入らねーな、そういう態度。ズカズカ人の屋敷に入って来て、結構じゃねえか」

口から尖った犬歯を覗かせた。

アルドの表情に変化は無いが、身に纏う雰囲気は一変する。

緊迫した空気を察したヴィークがいち早くアルドの前に出る。

「アルド……下がっていろ。カルファ様、不快な思いをさせてしまったのなら申し訳ございません。それほどアルド様は様の身を案じておられるのです。それは貴方もよくお分かりかと思います。何卒御協力頂けないでしょうか」

カルファはヴィークを見上げ、口角を上げて見せる。

「だから何だよ。関係ねーだろうが……あいつは俺の奴隷だ、外野にゴチャゴチャ言われる筋合いはねえ。後よー、そうやって脅されたり。必死にお願いされたり。ますます教えたくなくなるぜ」

「下衆でございますね」

サピルーンの歯に衣着せぬ感想に屋敷がしんと静まり返り、

「ああ!? サピルーンお前はこっち側だろうが!」

「すみません口が滑りました……反吐が出ますね」

「おい!」
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