第16章 二匹の獣
屋敷の廊下を颯爽と歩くカルファと、その隣を歩くサピルーン。
サピルーンの表情は暗く、すっかりやつれている。
無言でカルファに着いて回っていたものの、溜まりかねたように口を開いた。
「……カルファ様……様はいずこにおられるのでしょうか。ご存知であれば、わたくしに教えて頂けませんか、どうかお願い致します……」
突如屋敷から姿を消した。
サピルーンは気が気でないのだが、居場所が分からないと動けない。
しかしカルファははぐらかしたりするばかりで、サピルーンの納得のいく答えをする事はない。
今日もまたカルファはうっとおしそうにサピルーンを見、ひらひらと手を振って答える。
「あー? またその話かよ。だから〜、貧乏はちゃんと元気にしてるって」
そんないい加減な返事に納得するはずもなく、サピルーンはカルファに詰寄る。
「しかし……! ここ数日御屋敷内で全く姿が見えられません……それどころか、自室にもいらっしゃらないようで! わたくしは、心配で心配で心配で、気が狂いそうなのです……」
カルファはにべもなくサピルーンを振り払う。
そして目を細くし、サピルーンを睨めつけた。