第16章 二匹の獣
「そう、ですか? ここだと、着たことのないような服も着れるし、髪も顔も、綺麗に整えて貰えるから……」
「ああ……叶うならその役目は俺様がしたかった。ちゃんに素敵な服を着せるのも、靴を履かせるのも。髪留めでも化粧品でも何でも買ってやったんだがな」
「…………」
アルドはそんなを真っ直ぐに見つめ、
「そうだったらきっと、ちゃんは今笑えたはずだ。俺様に褒められて、そんな顔をするなんて世界一不幸だ」
芯のある声で言った。
黙り込むを抱き竦める。
「……すまなかった。俺様が時を巻き戻してやりたい」
ヴィークも複雑そうな面持ちで口を噤む。
長い沈黙の後、が口火を切った。
「……お二人は、どうしてここが分かったんですか? わたし、誰にも伝えられないまま娼館で働くことになったのに」
アルドはの問い掛けに微妙な表情を浮かべ、胸の前で腕を組んだ。
「あ〜……それはだなあ……色々と大変だったんだぜ?」
ヴィークも困ったように笑い、
「それでは私がお教えして差し上げますね」
に優しく目を細めた。
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