• テキストサイズ

首輪をつける

第16章 二匹の獣


アルドがわざとらしく首を竦める。

ヴィークは表情を一変させ、アルドを睨み付けた。

つかつかと詰め寄り、

「アルド! 何度も何度もそれこそ口が酸っぱくなる程言ったが、お前は王である自覚はあるのか!? 本来はこのような場所、来るのもはばかられる立場でありながらお忍びで……」

肩をいからせて説教を始める。

「わ、分かった分かった」

気迫に圧倒され、こくこくと頷くアルドを呆れたように見る。

「全く……俺だってこんな所誰かに見られたら困るんだ。かといってお前を野放しにしたら何をするか分かったものじゃないからな」

深くため息をつくヴィーク。

アルドは彼の様子を見、

「けどよおヴィーク、本当にそれだけが理由だったのか?」

「……何が言いたい」

含んだ言い方にヴィークは眉間に皺を寄せる。

アルドは僅かに口角を上げ、何もかも見透かしたような目でヴィークを捉えた。

「だから、俺様とちゃんが二人っきりになるのが嫌で、ちゃんに会いたくて」

アルドの顔がみるみるうちに赤くなり、火がついたように火照る。

「たッた、何をっ、何をたわけたことを! アルド! だいたいお前は昔から」

は二人のやり取りをきょとんと眺めていると、アルドが傍に寄る。

優しい目で見つめ、髪をそっと梳くように撫でて微笑んだ。

「ちゃんなんだか少し会わない内に垢抜けたな。綺麗ななりをしてる」

「人の話を聞けッ!」

は苦笑しつつ、アルドから思わず視線を逸らす。

下を向けば、美しいドレスの裾が放射状に広がり輝いている。
/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp