第3章 子猫のワルツ
カルファの一族はここら一帯を仕切る大地主で、それを元にした商売も手広く行っている。
「カルファ様、どうぞ」
サピルーンが豪邸の前に聳える門を開き、深深と頭を下げる。
カルファはの首輪から伸びる鎖を引っ張り、堂々と門をくぐる。
「カルファだ! 今帰ったぞ」
「おかえりなさいませカルファ様!」
カルファの帰宅を受け、使用人達がすっ飛んでくる。
スタスタと廊下を歩くカルファの後ろや左右にピッタリとつき、
「今日のお出かけはいかがでしたか」
慣れた手つきで外套を受け取り、笑顔を向ける。
「まあまあだ」
歩きながらにカルファの美しい毛並みをブラシで整える従者が、貧相な身なりをしたをちらりと横目で窺う。
「其方が今日のお買い物ですか」
猫なで声で訊ねるも、カルファはけんもほろろに答える。