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【祓本】祓ったれ本舗の廻廻奇譚的日常

第1章 姉と弟


 男は父親が死んだことを確認すると服を全て脱ぎ捨て裸になると、その格好での部屋へと足を運び箪笥の中から彼女の下着を手に取ると、そのまま自慰を始めた。血にまみれた手、父親の液体と男の液体に汚れる下着、男の興奮する声。ついにはその場に膝をつき、盛大に腹の中のものを吐き出した。

「こいつの父親と母親を殺せば、こいつはお前を頼ってくると思ったんだろ。両親を亡くした姉と弟ってなれば大人は嫌でも同情する。それが仲の良かった友人のガキとなればなおさらだ。母親も殺すつもりだったんだろうが、自殺したって聞いて心底嬉しかったんじゃねえのか。てめえの思惑どおりはてめえの会社に入社しててめえの部下になった。大方親父にでも頼み込んだんだろ。肩身が狭い思いをさせたくないから、身近に知っている人間がいるだけでも気持ちが楽だと思う、とかなんとか言ったんだろ。気を遣える上司を演じて距離を縮めようとアプローチを繰り返すも、はなびかなかった。弟のために仕事をするには恋愛は程遠いものだったんだろうな。そこでお前は考えた。どうにかして弟も排除できないかと。殺そうと計画を練るが、うまくいかなかった。理由は、こいつらは仕事と学校のない日はほとんど家から出ない。悠仁もたまに遊びに出かけるが、必ずといっていいほど友人たちが家に遊びにくる。そんな中で殺人なんてできる訳もないから、お前は考えた。どうにかして排除できないかと。そして思いついた。弟ではなく自身を呪ってしまえばいいと。そしてあの木箱だ。先祖代々から封印されていたものをお前は勝手に持ち出し、に渡した。こいつが職場の人間から嫌われるように仕組んだのもお前だ。あとはが箱の中身を見ればいいだけの話だった。そうすればこいつの胎の中に鬼が宿り、封印できるのは自分だけだと嘘を履けばいいんだからな。そうすれば縋ってくると思ったんだろう。だが、全然助けを求めてこないから違和感を覚えたんじゃねえのか。そうだよ、は鬼を孕んじゃいない。鬼に魅了され鬼を孕んだのは弟の悠仁の方だ」


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