第2章 2
「紀章さんって・・・」
「あぁ?なんだよ?」
「紀章さんって・・・下野さんと付き合ってるんですよね?」
ぶーっ!
わたしの言葉に、二人が揃って盛大に飲んでたお酒を吹き出した。
「お前、ばかか!なんで俺がしもんぬと付き合ってんだよ!?俺は女の子が大好きなの!」
「それも・・・知ってますけど、でも下野さんなら・・・・女の子顔負けに可愛いじゃないですか!」
「確かにな!紘くんは可愛いよ!」
「ほら、やっぱり〜!」
「ちょっと、ちょっと、待って!ストーップ!!何!?二人してどーゆー会話!?年下の女の子に可愛いって言われても嬉しくないし!紀章さんも!肯定しないで!?」
下野さんが吹き出したお酒を拭きながら大慌てで右に左にツッコミを入れる。
「えー、慌ててるのが余計に怪しいですし・・・」
「いやいやいや!びっくりしたわ!もぉ!」
「でも、好きですよね?下野さん、紀章さんのこと・・・。」
「だーかーらっ!なんで!?紀章さんのことは好きだけど!そーゆー対象じゃないの!俺は・・・っ!・・・・ってか・・・ちゃんが好きなんじゃないの?紀章さんのこと・・・。紀章さんだって・・・」
「へ?」
「お前、何言ってんの?」
突然トーンダウンしてちょっと泣きそうな顔になった下野さんの口からそんな言葉が溢れ出た。
「あー・・・すいません、今の忘れて・・・ちょっとトイレ行ってきます。」
誤魔化すような笑いを浮かべて席を立とうとした下野さんを、紀章さんが押さえつけた。
「おわっ!ちょ、紀章さん!危ない!」
バランスを崩し、転びそうになる下野さんを、紀章さんが鋭い目で見つめる。
「お前、何、今の発言。」
「え?」
「聞き捨てならない。」
「あ・・・えっと・・・」
困り顔の下野さんを畳み掛けるように紀章さんが詰め寄った。
「お前さ、俺にとの仲立ち頼んでおいて、俺らの関係疑ってたの?」
「え?」
「いや、・・・ごめんなさい、ずっと疑ってたわけじゃ・・・紀章さんって同じ事務所だって言ってもあんまり特定の後輩可愛がるタイプじゃないのに、ちゃんのことはすごいいつも気にかけてるし・・・・ちゃんもさっき、紀章さんにちょっと優しくされてないちゃうほど喜んでたし・・・どーしてもそーなのかなって思うじゃないですかっ!」