第3章 -3-
25年前・・・。
紘が私に告白してくれたのは・・・文化祭の後夜祭の後・・・だったっけ。
後夜祭が終わった後、クラスメートの男子に告白されていた私がいた教室に突然現れ、私の手を引いて、教室から逃げ出した紘。
「ちょっと・・・ちょっと、紘!どこ行くの?私まだ小暮くんと話してたのに!」
急に強引に引っ張られるまま走りだし、彼の後を必死に走りながら、私は抗議の声を上げた。
「まさき先輩、困った顔してた。別にあの男のこと好きなわけじゃないでしょ。話す必要ある?」
かけ足から早歩きにスピードを落としながら紘が怒ったように言う。
「好きじゃないけどっ!こんな風に逃げてくるなんて、木暮くんに悪いじゃん。ちゃんと話さないと・・・」
「だめ!」
「きゃっ」
紘が突然立ち止まって振り向き、私はそのまま紘の胸に顔面を強打した。
「いった・・・急に止まらないでよ!」
クレームをつける私をよそに、紘が不機嫌な顔で私を見つめる。
「・・・いいよ、話さなくて。つか、話さないで!やだ!」
うつむいたまま、私の手を握りしめて急に駄々をこねだした紘に、私は途方にくれた。
「やだって言われても・・・何?どうしたの、紘、急に・・・」
「まさき先輩は!・・・まさき先輩は・・・あいつのこと好きじゃないんだよね?付き合ったりしないでしょ?」
先ほどまで駄々を捏ねてた子供が、真剣な顔で私を見つめる。