第2章 -2-
「まさき先輩?どうした?ぼぉっとして。具合悪い?」
高校時代よりも低くなった紘の声がすぐそばで聞こえて、私はハッと我に返った。
はす向かいに座って、メニューを広げながら、心配そうにこちらを見つめる現在(いま)の紘の姿。
「あぁ、ごめん、なんか、いろいろ思い出しちゃって。」
「ん?なに?」
「高校の・・・・演劇部のこととか。あの頃の紘は・・・ほんと可愛かったなぁって思って」
思わずくすくすと笑い出した私に、紘がちょっと拗ねた顔になる。
「なんだよ、いいよ、そんなこと思い出さなくて。」
「その拗ねた顔とか、照れて赤くなった耳を引っ張る仕草とか、ほんっと変わってないね」
「うるさいなぁ、もういいから何食べるか早く決めて?」
真っ赤に頬を染めながら、紘がメニューで顔を隠した。