第12章 【ほのぼの甘】五条先生と夏油先生
「皆冷たいな!五条先生傷ついちゃうよー?悲しんじゃうよー?……で、憂太は誰派?」
「ええ!? ぼ、僕!?」
突然矛先を向けられた憂太がビクッと肩を跳ねさせた。
「「憂太、正直に言っちまえよ」」
「ツナマヨ」
周囲から一斉に視線を浴びて、明らかに動揺したように憂太の目が泳いだ。
心優しい彼は、誰も傷つかない答えを頭の中で秒速で探っているに違いない。
「えーっと、そうだな、うーん……ご、五条先生かな」
「憂太は優しいな」
「目が泳いでっけどな」
ははは、と真希とパンダに弄られて、二年の輪に笑いが起きる。
その様子を見やってから、五条先生は隣に居る私の頭にポンッと手を乗せる。
「それで、ゆめはどっち派?僕?それとも僕?」
「えっ!?……うーん、それ、私に選択肢は無いんですか」
さり気なく髪を撫でるような五条先生の手の動きに、不覚にもドキドキしてしまった。
なんて答えるのが正解なのだろう。
指導の仕方がうまくて生徒からの信頼が厚い夏油先生か、はたまた気軽に冗談も言える距離の近さとルックスの良さで人気を集める最強の五条先生か。
二人の先生の姿を交互に見比べて私が唸っていると、
「何やら楽しそうだね」
汗をタオルで拭きながら、二年と五条先生の話の輪に夏油先生が参加してくる。
いつの間にか伏黒くんの手合わせ相手は虎杖くんに変わっていた。
それを見て、芝生の斜面に座っていた一年の野薔薇ちゃんが立ち上がった。
伸びをしてからグラウンドへと駆け下りて、こちらへと手を振ってくる。
「真希先輩、次は私とやりません?」
「いいぞ。構えな、野薔薇」
「じゃあ棘は俺とやるかー?」
「しゃけ」
生徒同士で次々とペアができ、休憩がてら夏油先生が五条先生の隣に座った。
冷たいペットボトルの麦茶を手に一本ずつ持って、二人の先生が仲良く並んで休憩していた。
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