第11章 【五条/シリアス】最愛のあなたへ
そして私の手を握り直すと、甘えるように言った。
「やっぱり今日はずっと一緒にいてくれる?」
悟の気が変わるのは良くあることだけれど、なんだろう、言い表せない不安が広がった。
でも、その正体がわからないまま、私は曖昧に「うん」と答えていた。
結局、悟の様子がおかしかった理由は聞けないまま、ミルクたっぷりの甘々熱々カフェオレを作ってから彼の元へ向かう。
彼はソファに座って雑誌を見ていた。私が近づくと、顔を上げて、やわらかい笑みを見せた。
「ゆめのカフェオレ好きなんだよね」
私は彼の隣に座ってマグカップを手渡した。悟はそれを受け取ると、一口飲んで「んー、いつもより甘くない?」と言った。
いつも通りの会話なのに、どこか視線がよそよそしい感じがするのは私の気のせいだろうか。
「ねぇ、ゆめ」
「なに?」
「好きだよ」
彼はそう言って、隣にいる私の肩に頭を乗せて、もたれかかってきた。
急にどうしたのかと驚いているうちに、だんだんと体重をかけられる。
私はバランスを崩してソファの上に倒れた。悟が私に覆い被さるような体勢になり、そのままぎゅっと強く抱きしめられる。
彼の吐息が首筋にかかり、少しくすぐったい。
「どうしたの?甘えたい気分?」
私が尋ねると、悟は無言のまま腕の力を強めた。
苦しいけれど我慢できる程度だったので黙っていると、彼は静かに口を開く。
「僕が先だったか、と思ってさ」
「え?」
彼の言葉に困惑した。どういう意味だろう。
何か不安なことがあったのかと思い、彼の顔を覗き込もうとしたができなかった。
悟が私の首筋に顔を埋めてきて、まるで母親に甘える子犬のように擦り寄ってくる。
いつもより口数が少ない彼に戸惑いながら、私はその背中を優しく撫でた。
「今は僕のことだけ考えて」
「……うん?」
「ずっとずっと、僕のことだけ見てて」
悟に切実な声で言われて、胸がぎゅっと締め付けられた。
私は彼の髪に唇を落としながら、安心させるように囁く。
「私はずっと悟のそばにいるよ。大丈夫、心配しないで」
すると彼はようやく顔を上げて私を見た。
その瞳は潤んでいるように見える。
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