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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第11章 【五条/シリアス】最愛のあなたへ


すると、悟は寝返りを打ちながら、気持ち良さそうに目を細めていた。

ガタイは良いのに、猫みたいで可愛らしいと思うと同時に、母性のようなものを掻き立てられる。


「悟は今日任務あるよね?早く起きないと遅刻するよ」


私がタオルケットを引っ剥がすと、悟の片腕と攻防戦が続いたが、最後は渋々といった様子で起き上がっていた。

そして大きな欠伸をひとつしてベッドから降りると、洗面所に向かって歩いていく。

まだ眠そうだったが、寝癖さえサマになる顔でこちらを振り返る。


「ゆめ、朝ごはんは外に食べに行こ」

「へ?うん……準備するね」


久々の朝デートにワクワクしながら、私はクローゼットの中から服を取り出した。

まだ12月になったばかりとはいえ、もうすっかり冬だ。外は風も強いし寒そうなので厚手のコートを羽織ることにした。


「あれ、12月……だっけ?」


何か違和感が付き纏う。

身支度を整えてから、カレンダーを見ようとリビングへ向かうと、悟はソファに座ってテレビを見ていた。

私が来たことに気づくと、彼はこちらを見て微笑む。その笑顔にドキッとした。


「悟……何見てるの?」

「ん?朝のニュース。暇つぶしになるかと思ったけど、退屈なニュースばっか」


私は彼の隣に腰を下ろした。

そこでようやく気が付いたけれど、彼の顔が心なしか青白い気がする。

寒いから風邪でも引いたのだろうかと思い、おでこに手を当てると、悟は一瞬ビクッとしたが特に嫌がらなかった。

それどころか私の手を上から握り、そのまま自分の頰に持っていく。

体温が低い気がする。風邪ではないらしい。


「どうしたの、体調悪い?外に行くのやめようか?」


私が尋ねると、彼は首を横に振った。


「問題ないよ」


嘘だ。絶対何か隠しているに違いないと思ったけれど、彼が言いたくないと言うのなら仕方がない。

私はそれ以上詮索しなかった。すると悟は安心したように小さく息を吐き出す。


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