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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第1章 【五条/シリアス】哀情



家入さんのサポートに徹してどれくらい経っただろうか。

二人でクタクタになって座り込んでいるところに、補助監督の方が差し入れを持ってきてくれた。同時に知らされたのは、呪詛師たちが次々に撤退し、放たれた呪霊も残り少ないということ。ただ、次の知らせを伝えられて血の気が引いた。

「高専が夏油傑に襲撃され、だいぶ前に五条術師もそちらに向かいました。少しずつ入ってきた情報によると、すでに何名か高専で待機していた補助監督の死亡が確認されています」

そんな、と言葉を失った私の横で、家入さんが深い深い溜め息を吐いた。
悟に続き、一部の1級術師が応援に向かっているだろうから心配ないだろうとの話だったが、悟の生徒さんの乙骨くんたちや真希ちゃんはどうなったんだろう。高専に待機していたはずだ。
夏油さんは特級呪詛師だと開戦前に夜蛾学長が言っていた。生徒の二人は怪我はしていないだろうか。

「……前線に重症者は?」
「新宿は残り軽症者のみです」
「ゆめ、高専に向かうぞ」

努めて冷静な家入さんが荷物をまとめ始めた。補助監督へ治療者名簿とカルテを渡し、今後の動きについて打ち合わせしながら、車の手配を促していた。

「学長?こっちは済んだのでゆめと高専に向かいます。……えぇ、言われずとも警戒しながら行きますよ」

スマホで連絡を終えた家入さんの後ろにくっついて、私も今まで居た建物を後にする。
心臓が終始ぎゅっと掴まれたようだった。悟も心配だし、乙骨くんや真希ちゃんの顔が頭に浮かぶと、心配で心配で、喉が締められたみたいに空気が通らない。

 

――――そして、私たちが高専に着いたころには決着がついていた。


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