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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第8章 【乙骨/甘】微熱



明日こそは一緒にいたい。
そのお誘いをなかなか言い出せないでいると、憂太は不思議そうに首を傾げた。

いざ言おうとすると緊張してしまう。ベッドから降りた彼が、私の顔を覗き込むように見てくる。


「ゆめちゃん、どうしたの?僕にできることならなんでも言って?」

「じゃ……じゃあ言うけど……今日の続きしたいから、明日の夜も一緒にいてくれますか?」


緊張しすぎて敬語になってしまった。

恥ずかしくて死にそうだ。少しの間があって、憂太は一瞬ポカンとした後、嬉しそうに微笑んで頷いてくれた。


「……うん。わかった」


彼の返事を聞いた瞬間、一気に力が抜けた。


「よかった……」

「ふふ、ありがとうゆめちゃん」


憂太は目を細めて柔らかく微笑み、私の隣に立つと、そっと肩を抱き寄せてきた。

突然のことに驚いて固まってしまう。すると彼は耳元で囁いた。


「好きだよ」


ボッと顔が火照って、全身の血液が沸騰する。

心臓が爆発しそうなほどドクドクと激しく脈打っていて、とっさに上ずって掠れた声が出てしまった。


「え……う、あ、そ、そんなの知ってる!早く寝てよ!」

「はいはい」


明らかに激しく動揺した私の様子に憂太は笑いながら、ベッドに潜り込んだ。

それを見届けて、私は黙ってしゃがみ込む。

憂太は天然の女たらしだ。

出会った時のオドオドした感じは無くなり、大事なものは大事だと言葉にして、最近は頻繁に愛の言葉を口にする。

穏やかで優しく、呪術師としても腕が立つ。

いつもニコニコとして、無自覚にも皆に親切だから、勘違いして告白してくる女性もいる。

まぁ、あんなのされたら誰だって惚れちゃうだろうとは思っちゃう、私の自慢の彼氏。

心臓が落ち着いてきたので、はぁ、と溜息をついて立ち上がる。

とりあえずクローゼットを静かに開けてパジャマを取り出して着替え、洗面所へ行こうと部屋のドアを開けると、そこには憂太の字で「メリークリスマス!来年もゆめちゃんと過ごしたいな」と書かれたメッセージカードと、いくつかのプレゼントの箱が置いてあった。


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