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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第1章 【五条/シリアス】哀情




こっそりと学長と家入さんに成功を報告し、この一件は幕引きとなった。

「催眠状態への暗示か……やはり、術式の解釈を広げて応用したら、対呪詛師では精神破壊型の攻撃タイプになるぞ。呪霊にも効くか試さんとな。訓練と昇級受けてみるか?」

と、夜蛾学長から提案を受けたが、私は首を横に振った。呪霊以外を攻撃するのは私の望むところではない。今のところ脆弱な術式と思われているので、上層部に目をつけられることもない。

何より、悟が望まない。百鬼夜行の時も前線に出るのを直前まで反対された。

「やはりネックは悟か……囲うだけが愛情ではないはずだが」

ご指摘はごもっともである。

でも悟は私が本当に嫌がることはしないし、私もそうでありたい。
泣いたのは誰にも言わないでくれ、と悟から懇願されたので、それは誰にも言わずに墓場まで持っていこうかなとは思っている。

「彼の弱みは握りましたので、彼が暴走するときは行使させて頂きます」

「ならば、悟の手綱はゆめに任せるか」

「はい、お任せ下さい」


号泣する姿を晒してしまった恥ずかしさから、枕に顔を埋めながら、耳まで真っ赤にして悶絶していた悟の可愛さを思い出して、思わず笑みが出てしまう。

「あーあ……ゆめの前では泣かないって決めてたんだけど」

「そうなの?大切な人のために泣ける方が人間らしくて好きだよ」

かつて無いくらいに落ち込む彼に笑いながら返答すると、悟に無言で抱きしめられて、暫く開放してもらえなくて少し焦った。

出勤する直前まで、「包帯じゃなくて目隠しにしようかな、黒いやつ」と呟き、真っ赤に腫れた瞼を冷やしながら唸ってたのも貴重な姿だった。

そんな姿を独り占めできる贅沢。
今日一日は思い出してニヤニヤしてしまいそうだな、と思いながら、挨拶もそこそこに私は学長の部屋から退室した。


END.



→後半の+αは百鬼夜行当日の捏造話

(裏夢で掲載したものと同じ、性描写なし)

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