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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第7章 【五条/シリアス】哀情-Answer-(五条視点)



涙腺が崩壊してしまったかのように、自分でも止められず、次から次に大粒の雫が流れ落ちていく。

ゆめは目を見開いて驚きつつも、黙って背中をさすってくれた。

彼女の手の温もりが、ズタズタになった心に安らぎを与えてくれる。

やがて嗚咽混じりになりながらも、ぽつりぽつりと語り出す。あの日の出来事を全てゆめへ話した。

自分がしたことへの後悔や懺悔の言葉を口にしながら、今は亡き親友へ何度も謝罪する。

その間ずっと、ゆめは何も言わずに頷いて耳を傾けてくれる。

全てを吐き出し終えると、ようやく心が落ち着くことができた。


「ごめん……」


鼻水をすすり上げつつ、今度はゆめに謝った直後、ふわりと柔らかなものに包まれた。

ゆめの胸元に引き寄せられ、優しく頭を撫でられる。

その温もりに安堵感を覚えながら彼女の甘い匂いを吸い込むと、心の奥底にある何かが溶け出していくような気がした。


「夏油さんも、悟のことが大切だったんだね」


そう言ってくれた彼女に甘えるように、僕はしばらくそのままじっとしていた。

泣き顔は彼女に見せまいと努めていたのに、結局は泣いてしまったことを少し恥ずかしく思いながら、僕は自分の心に向き合うことにした。

もう逃げないと決めたのだ。

だからまず、僕が一番恐れていることを確かめるために口を開いた。


「ねぇ……ゆめ、こんなカッコ悪い僕に幻滅したりしない?最低なことをした僕でも、まだ好きでいてくれる?」


すると彼女は僕の顔を覗き込みながら微笑んで言った。


「当たり前じゃない。私はどんな悟も好きだよ。だから安心してね」


その言葉を聞いた途端、僕はまた泣けてきた。

けれど今度は嬉しくて泣くことが出来た。そんな僕を見て、彼女は優しく笑っていた。

それから、僕は不思議と悪夢を見ることはなくなった。



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