第7章 【五条/シリアス】哀情-Answer-(五条視点)
某日。
「今度、おまえの後輩たちや硝子、ゆめも連れてくるよ」
風ひとつない、穏やかな昼下がり。
持参した白い花を墓に飾りながら、僕は親友に語りかける。
「オマエみたいにバカ真面目な術師が割りを食わないように、僕が腐った呪術界を変えると決めた」
拳を冷たい墓にくっつけ、親友に、自分に、宣誓する。
次の瞬間、ヒュウっと一抹の風が優しく頬を撫でる。
まるでアイツが返事をしたような気がして、思わず笑みがこぼれた。風に乗って、懐かしい笑い声が聞こえた気がした。
「……だからさ、見守っててくれよ。僕のこと」
この決意はきっと揺るがないだろうから。
そう思いを込めて呟いた言葉は、果たして親友に届いているだろうか。
答え合わせはできないけれど、それでもいいと思った。
だって、ヤツはいつもそばにいるんだろうから。
「じゃあね、傑」
また来るよと言い残し、踵を返す。
振り返り際に見た墓石には、瑞々しい白百合の花が揺れていた。
END.
白百合の花言葉 →「純潔」「威厳」「無邪気」・「清浄」・「高貴」・「甘美」・「自尊心」・「誇り」・「偉大」・「栄華」