第7章 【五条/シリアス】哀情-Answer-(五条視点)
「悟……眠れないなら、私の催眠系の術式を使おうか?」
そう言って、彼女は頭を撫でてくれる。
まるで子供を相手にするような扱いだが、不思議とその手つきはとても優しく感じられた。
気がつけば、僕は自然と彼女の胸に顔を押し付けるようにして、スゥッと沈むように眠りに落ちる。
とても居心地が好く、包まれて眠るような安心感があった。
ゆめと一緒に暮らしていて、本当に良かった。
傷んだ心が擦り切れてしまいそうでも、縋っていい温もりがそこにある。
そんなことを毎晩繰り返し、ゆめが硝子や夜蛾学長に僕の睡眠不足について相談してくれていたのは知っていた。
ついでに、憂太や他の生徒たちからも、僕がいつもと違うから心配だと言われていたことも知ってしまった。
皆、こんな僕を心配していた。
特に、硝子とゆめは何かを企んでいる。
頼むから危険なことはしないでくれと願いながら、冗談っぽく、
「僕に隠し事はしないでね」
とゆめに言うと、彼女は一瞬キョトンとしてから笑った。
「じゃあ晩御飯のメニューはハンバーグだってバラしちゃいまーす」
と、愛する人が抱きついてくる、平和で細やかな幸せ。
だが、ゆめが資料室に籠もって何かを読み漁っていることや、学長から「ゆめに昇級できる余地があるが、反対するか?」と問われ、僕が彼女の成長を妨げているのではないかと少し落ち込んだ。
ゆめに昇級したいかと聞くと、苦笑して首を振った。
もし、危険な任務に行くことになったりしたら、心配するであろう僕の顔は見たくないから、無茶はしないと決めているそうだ。
お互いが行動の基準になっていて、似た者同士だなと呆れて笑ってしまった。
そんなことが続いた日の晩。
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