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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第7章 【五条/シリアス】哀情-Answer-(五条視点)



言葉は悪いが、パンダと棘に盾になって貰い、真希と憂太を死守するプランでいく。



二人を高専に送り込んだ後で、異人の術師を退けると、タイミングを合わせるかの如く、波が引くように呪詛師たちが撤退していった。

そこで初めて、傑の狙いがハナから憂太だったことが予想から確信に変わる。

里香を取り込み、百鬼夜行で高専の体力を削れれば御の字。

ほくそ笑みながら高専の門を開けるアイツの姿が目に浮かぶようだ。


「あーあ、やってくれたな、傑」


親友に出し抜かれたことに軽く舌打ちし、座り込んでガシガシと頭を掻いていると、


「悟、高専へ向かえ。特級呪詛師・夏油討伐に関して、上がお前をご指名だ」


夜蛾学長が渋い顔をしながら、スマホ片手に近付いてきた。

学長の話から、大体の被害状況が分かってきた。 

命からがら、傑の放つ呪霊から逃げた高専待機の補助監督から、学長へ現状の報告があったらしい。

百鬼夜行首謀の夏油傑を殺せ。さもなければ五条悟、お前も裏切り者とみなす……と、上層部は息巻いている。

学長がうんざりとした様子でそう告げてきた。


「学長、ゆめは?」

「無傷で退避して硝子を手伝っている」

「そっか……ゆめが怪我したら街ひとつくらいは灰にしてたね」

「お前が言うと冗談に聞こえんな」


軽い冗談を交わした後で、障害物の少ないビル上に出てから目視でルートを確認して高専へとトぶ。

移動には無下限の術式を応用するが、その特徴から直線ルートのほうが移動は早い。


数秒後、高専に近付いた瞬間、大きな爆発音が聞こえた。

スピードを上げて辿り着くと、眼下に広がるのはひどく損壊した高専の校舎、爆発の中心地から少し離れた場所で倒れている憂太を視界に捉える。

風に煽られた煙と砂塵を吸わないように、無限を解かずに降り立ち、教え子に大きな怪我が無く、打撲程度で済んでいることを確認して胸をなで下ろす。

傑から攻撃を受けないか周囲を警戒するが、いやに静かだ。


「死んだか?……いや、違うな」


目隠し代わりの包帯をずらして片目だけで一旦周囲を見渡すと、気を失ったままの真希、パンダ、棘の3人の呪力の他に、ヨロヨロと高専の外に向かっている呪力の塊が一つ。


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