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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第6章 【パンダ/ほのぼの甘】依依恋恋



「とりあえず、隣の部屋で話をするか」


そう言って、私を案内してくれる。隣の部屋は簡易的な客間のようになっている。小さい道場の休憩室と兼用になっているのだろうか。


「あ、漬物類がお好きだと聞いたので、よろしければ……」


と、忘れないうちに手土産を夜蛾さんに渡した。

急な話で夜蛾さんの好物のいぶりがっこは手に入らなかったけど、好きな漬物の傾向はパンダくんに聞けたから間違いないはずだ。


「気を遣わせてしまったようだな」


と言いながらも、夜蛾さんが普通に受け取ってお礼を言ってくれて安堵する。

その間にパンダくんがお茶を淹れてくれていた。ソファに座るよう夜蛾さんに促され、私は腰掛ける。


「真希から聞いたが……パンダ、夢野さんとお付き合いしているというのは本当か」


夜蛾さんが急に本題に入ると思っていなかったらしい。

急須を持ちながら、「真希め余計なことを」と、パンダくんがギリギリと歯ぎしりしてる。私はまだ余計なこと言わずに黙ってた方が良いかな。


「俺自身のことも話したし、それでも良いってゆめが言ってくれたから、とりあえず友達からの清いお付き合いしてるぞ」


俺からはせいぜい手を繋いだ位で、責められることは何もしていない。そう言いながら湯呑にお茶を注ぐパンダくんに、 


「まったく、オマエというやつは」


眉間に皺を寄せた夜蛾さんが私の向かいのソファに腰を下ろし、サングラスを外して頭を抱えた。


「夢野さん、こんな愚息のどこに惹かれたのか聞いても?」


夜蛾さんに話を振られ、心臓が跳ねた。

え、何これ、パンダくん本人の前で言わなきゃいけないやつなのか。好きな人の前で好きなところ挙げるとか、逆に罰ゲームみたいだ。

でも、パンダくんの父親である夜蛾さんに認めてもらったら、堂々とパンダくんの彼女だって胸を張れる気がする。


「えっと……パンダくん優しいんです。いつも私のこと心配してくれているし、お店を継ぐって決めて、毎日忙しい私を傍で応援してくれました」


パンダくんと居るとあったかい気持ちになるんです、と話を続けると、夜蛾さんの眉が微動した気がする。



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