第2章 【パンダ/ほのぼの甘】パンダの王子様
今日も休講になったとかで、買い物ついでに店の手伝いをしに来てくれた。
そんな時、
「パンダ、ここにいたのか」
ポニーテールの女の子が店の入口に腕組しながら立っていた。
「お、真希。どうした?」
「どうしたじゃない、緊急の任務が入ったから迎えに来たんだよ。電話くらい出ろ」
「あー悪い悪い、気づかなかった」
女の子にどやされながら回収されていくパンダくん。去り際に彼に手を振られ、私も笑って振り返す。
「いいな……仲良さそうだな」
あの女の子は同級生の子かな。
パンダくんとの親しげなやり取りと距離感に、なんだか胸がモヤモヤする。
「パンダくんはどんな女の子が好きなのかな……」
無意識に口に出た言葉にハッとする。
「いやだ、これじゃなんか……」
私、パンダくんのこと好きみたいじゃない。
自覚した途端に頬の温度が上がる。
たしかに中身はイケメンだけど、人じゃない。
パンダくんは私のこと褒めてくれるけど、本当はどう思ってるんだろうか。友達だと思われてるのかな。そもそも呪骸の彼は恋をすることがあるんだろうか。
考え始めると、思考がぐちゃぐちゃしてきて、息が詰まってくる。胸が苦しくなってきて、溜め息がこぼれる。
「……余計なこと考えないで仕事しよ」
また彼が大量の羊毛フェルトを持っていく日が近づいている。品番を見ながら数字を発注書に打ち込んでいく。
気持ちは宙ぶらりんだけど、仕事だけはしっかりやりたい。
そう思っていたのだけど。
「お、ゆめ。多分頼んだのと色が違うぞ」
羊毛フェルトを渡す時にパンダくんから指摘が上がる。そんなはずはない、でも最近パンダくくんのことを考えて上の空だったのも否めないので、発注書を確認する。
「やだ……1個数字ズレてた」
「まぁ、大丈夫だろ。まさみちには俺から言っておくから納品され次第連絡くれよ」
→