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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第18章 【夏油/悲恋】偽り睡蓮花




【記録② 呪詛師としての目覚め】


夏油の庇護の下、ゆめの才能は急速に開花した。


彼女の術式は「糸操術」と名付けられた。

指先から放たれる見えない呪力の糸で、対象の人間や物の動きを操る術式。

人をマリオネットのようにし、身体の動きを完全に掌握する。

ただし、意のままに操れる強力さから、ターゲットは一つに適応される縛りがある。


「すごいじゃないか、ゆめ」


夏油の賞賛に、ゆめの顔が輝く。


「本当ですか! もっと頑張ります!」


呪力操作の訓練は過酷だった。

体内の呪力の流れを意識しながら練り上げ、ワイヤーの如き強度の細糸を指先から放出する。

そこまで出来ても、自分の思考通りに糸を、術式対象を、操るのは至難の業。

だが、ゆめは一度も弱音を吐かなかった。

夏油の期待に応えたい一心で、血を吐くような努力を重ねた。


汗と涙にまみれながら、それでも笑顔を絶やさなかった。


痛みも、苦しみも、全てが喜びに変わる。

夏油に褒められる。

それだけで、世界が輝いて見えた。



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