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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第14章 【虎杖/コミュ提出物】ヘレボルス


衝撃で辺りの窓が次々と割れて破片が散る中、恵は追撃を行うために駆け出す。


「玉犬、逃がすな!」


号令と共にダンッと地面を蹴り、跳躍する黒い式神が逃走する呪詛師にのしかかる。

逃げられないよう、恵と建物の壁とで前後を挟んで退路を断つ。


「オマエの負けだ。拘束していた行方不明者を解放しろ。あの木の呪霊は、呪術規定に基づいてこの場で祓除する」


「や、やめ……っ、やだやだやだ!あの子は、家族よりも私の傍にいてくれた子なんだから!そんなこと許さない!」


喚いた後で、地面に這いつくばった海は唇を噛み、悔しさを滲ませる。

鵺の突進で負った傷から出血しており、家族より大切なものの断末魔を聞いても体が動かせない。

まごうことなき敗北。これ以上の抵抗は無意味と悟って降参を宣言する。

同時に、行方不明者たちも解放され、どさりと地面に落ちる。凍傷は軽度、衰弱して意識を失っているものの呼吸はある。直ちに命に影響は無さそうで、恵は密かに安堵した。


「玉犬、そいつを見張ってろ。俺は虎杖のとこに行ってくる」


一つの戦いの区切りがついたのも束の間、恵が駆け出す。


「お前らなんて大っ嫌いだ!正義だけ振りかざしやがって!ハミ出し者を簡単に切り捨てるクセに!地獄に落ちろ!」


と、その背に呪詛を飛ばす声が届く。だが恵はそれを完全に無視し、雪を踏みつけながら走った。




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