• テキストサイズ

【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第14章 【虎杖/コミュ提出物】ヘレボルス


自分と津美紀の面倒を見てくれた“あの人”も、こっそり枕元にプレゼントを置いてくれたことがある時期を思い出す。

質がいいものを贈れど、子供の心を掴めないプレゼント音痴だったのは否めない。

それでも、自分たちのために時間を割いて考えてくれて、わざわざ買いに行ってくれた。そこは感謝している。

2人は昼食を済ませ、再び調査を開始した。

病院スタッフに探りを入れるも、めぼしいのは敷地内の中庭にある噴水近くの痩せた木だけで、件の木とは到底思えない。

だが問題は、同じく中庭にある小さな時計塔にあった。


「なぁ、伏黒。ビンゴかもよ」


悠仁が頷くと、恵も合点がいったように視線が上に向く。

禍々しい気配、呪術師なら気付かないはずがない。


「あの時計の上、設置されている女神像……呪物か?引っ付いてる呪霊はそこまで脅威じゃないな」


慈悲深い笑みの女神像。しかし、その微笑みの裏には底知れぬ何かが潜んでいる。

負の感情の吹き溜まりになりやすい病院の中心部に、呪物を置けば呪霊の発生を促すのは明白。

しかし、呪霊は居ても有象無象。見積もって3級以下。

騒ぎにならぬように悠仁が身一つで呪霊を祓っていく様を見届けながら、恵はあれが設置されてから日が浅いのではないかと推察していた。


「あの女神像ですか?」


場所は打って変わってナースステーションに戻る。

更に情報を集めるべく、悠仁たちは看護師たちに声をかけた。


「アレ、いつからあったんですか?」


悠仁が尋ねると、看護師たちは困ったように顔を見合わせた。




/ 166ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp