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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第14章 【虎杖/コミュ提出物】ヘレボルス




「一旦、新田さんに報告しておいた方がいい。その話が本当なら、今夜は夢野さんから目を離すな」


単なる勘。だが呪術師においては、過去に培った経験からくる第六感が人の生死を分けることもある。

女神とやらが彼女の願いを聞き入れるなら、事は夜に動くだろうと予感していた。


「黄泉がえりの木だっけ?木に辿り着けば死んだ人に会えるって話なら、それがどこか分かれば、先に現場押さえておけるんだけどなぁー!」


頭をガシガシと掻きながら、悠仁はぼやく。各々コーヒーを飲み干し、ゴミ箱に投げ入れた。


「とにかく、今は情報を集める」


そう言って歩き出す恵に、悠仁は慌てて追いすがる。


「了解!でもまずは飯食いたい。いつの間にか昼だし、腹減っちゃってさー」

「病院の食堂に行くか」

「カレーとかあるかな。伏黒は何食う?」

「俺は日替わり定食でいい。カレーはないが、ラーメンのメニューが豊富らしい」


連れ立って病院の廊下を歩く。

任務が始まった時にチラついていた雪も、少しずつ勢いを増しながら深々と降り積もってゆく。

まだ昼間だというのに、外は曇っていて薄暗い。病院の窓から見下ろす光景は、まるで灰色のカーテンが世界全体を覆ってしまったようだ。


「この雪、今夜にはもっと激しくなるらしいな」

「ホワイトクリスマスかぁ。そういや、伏黒ってサンタさん信じる派?」


任務の最中とは思えないほど、呑気そうにのたまう悠仁を横目に、恵は気怠げに言い捨てる。


「サンタの正体なんて、身内だろ」

「俺のとこには来なかったんだよなぁ。まぁ、爺ちゃんから毎年プレゼント貰ってたんだけど」


懐かしそうに目を細める悠仁に、恵は「そうか」とだけ返す。




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