• テキストサイズ

【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第14章 【虎杖/コミュ提出物】ヘレボルス


挨拶をして、悠仁は病室を後にした。

廊下に出れば、既に恵が待機しており、こちらをじっと見つめている。

どうやら両者とも情報収集は上手くいったようだ。恵の視線に頷き返し、悠仁もその場を後にした。


「伏黒はどうだった?」


自販機がある休憩場でベンチに腰を下ろす。

情報収集の成果を話し合いながら、彼らは缶コーヒーを手に一息ついていた。


「戸奈 海は白だ。夜中にウロウロしてたのは、こっそりジュースを買いに行っただけだって白状した。それどころか、暴力を振るう親がビル事故で死んで、せいせいしたらしいぞ」


恵はコーヒーを一口飲み、小さく溜め息をつく。

他人と話していて、久しぶりに不愉快な気分になった。

呪いの原石のような女、戸奈 海。

透けそうなほどに不健康な青白い顔色をしているのに、目だけがよく動いていた。彼女が口を開けば、感情を逆なでしてくる言葉ばかりが聞こえてくる。


『あんな親さぁ、死んで当然だよ。アイツがビルの瓦礫に挟まれて真っ二つになった時は、さすがに笑っちゃった』


彼女の家庭事情が複雑だったのは、任務資料からうかがえる。それを事前に見ていた恵も、少しシンパシーを抱いた。

だが、彼女のように誰かの死を喜ぶ程に性根が曲がらずに自分が成長出来たのは、津美紀や“あの人”の存在も大きいのだと、今更ながら実感する。


「ゆめは、すでに星の女神に接触してる。クリスマスに死んだ姉ちゃんに会うらしい」

「……相手は人か?」

「残穢は無かったから、呪詛師絡みかは分かんない」


手のひらを見つめながらの悠仁の返答に、恵は額に手を当てて考え込む仕草を見せた。そして数秒後、再び口を開く。



/ 166ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp