第12章 【ほのぼの甘】五条先生と夏油先生
五条先生は、私が一年生の時から気にかけてくれていたし、入学したての頃はよく食事や買い物にも連れて行ってくれていた。
まさか、そんな意図があったなんて思いもしなかったけれど。
「ま、でも傑に負ける気はしないけどね。僕、最強だから」
「悟が私に勝てる要素なんて、何かあったかい?」
「は?何それ。また喧嘩売ってんの?」
「先に仕掛けてきたのはそっちじゃないか」
またも睨み合いを始めてしまう二人。
しかし、そんな二人の言い合いを他所に、私は少し考え込んでいた。
先生二人が私を想ってくれていたことは素直に嬉しいと思うし、それを知って胸が高鳴ったのも事実だ。
でも、どこか釈然としない自分もいる。
一回り年上のイケメン二人から迫られるって、そんな非現実、マンガやゲームの中でしかお目にかかれない。
「ゆめ、難しい顔して何考えてんの?」
「え?いや……先生二人とも私と違って大人だし、からかわれてるのかなぁって思って」
少し上の空で考えていたせいで、私はつい思ったことをそのまま口にしてしまった。
私の言葉を聞いた途端、五条先生と先生はお互いに顔を見合わせる。そして次の瞬間には二人は同時に不敵な笑みを覗かせた。
「じゃ、試してみよっか」
「そうだね。どっちがゆめにふさわしいか、分からせてあげよう」
背筋に寒気が走る程、素敵なイケメン二人の笑顔が恐ろしい。
焦る私が疑問の声をあげる間もなく、次の瞬間にはふわりと体が浮いた感覚に襲われた。
「ちょ……っ!先生たち!?」
突然の浮遊感に驚いて声を上げるが、五条先生に抱えられているせいで身動きが取れない。
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