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【呪術廻戦】撫子に口付けを【短編集】

第12章 【ほのぼの甘】五条先生と夏油先生


確かに毎回のことで見慣れた光景だけど、二人は何かしら小競り合いをしている気がする。


「本当のところ、先生たち二人は仲悪いの?」

「私じゃなくて、本人たちに聞いてみろ」


私と真希の声に、上着を羽織りながら歩いてきた先生方二人が、こっちに顔を向ける。

二人の顔を交互に見つつ、私は言葉を続けた。


「先生たちって同期なんですよね?卒業後の任務は流石に別行動が多かったと聞いてますけど……それだけ一緒なら、普通はある程度仲良くなりますよね」


私の疑問に、五条先生も夏油先生もきょとんとした顔をする。

その後、無言でお互いに目を見合わせると、ふっと呆れた顔で二人は笑った。


「そういえば、私たちは学生時代の任務はペアですることが多かったね。あの頃の悟は『俺たち最強』とかダサいこと言ってたっけか」

「最強宣言は傑だろ。若気の至りでしょ。イキってた感はあったけど……まぁ、でもそこまで長い関係だと、好きか嫌いかって話じゃなくなるもんだよ?」


戯れ言を交わしながらも、長年培ってきた関係性はそんなに単純に作り上げられるものではないようだ。

出血するほどの真剣な手合わせをしたばかりだと言うのに、彼らはヘラっとした顔で笑い合う。

その穏やかな様子からは険悪な空気は全く感じない。傍から見ると、馬が合わなさそうな二人だなとは思うけれど。


「しいて言えば……」


目隠しを付け直しながら、楽しげな五条先生はピッと人差し指を立てた。


「僕たち、あることでライバルなんだよね」

「……ライバル?何のですか?」

「あー……私からは言えないかな……」


苦笑した夏油先生は顎に手をあてて考え込む姿勢をとり始める。

これ以上教える気は無いと、五条先生も無言で私に圧力をかけていた。


「可愛い生徒に教えてくれないんですか?」


少し唇を尖らせて抗議すると、先生が私に背を向ける。


「僕たちは厳しい先生だからね~」


振り返ってぺろりと舌を出して、おどけてみせる五条先生。


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