第7章 心の中で生きている【折原臨也/切甘】
私の彼、折原臨也は生まれつき記憶障害を持っていた、
それもただ忘れっぽいだけなのだが忘れっぽさが尋常ではない
だが、依頼や書類等の重要な記憶はちゃんと残っているため日常生活に差し支えは無かった
「ねぇ?珈琲入れてって言ってるじゃん」
「さっき渡したでしょ?」
「あ…ほんとだ、飲みきってた」
彼の愛用するマグカップには珈琲がまだ乾かずに底に少しだけ残っていた
「あはは、おかわり…いる?」
「うん、頂戴」
「おっけ、」
ポットからお湯を出してインスタントの珈琲の豆に注ぐ
「はい、これおかわり」
「………」
「臨也…?」
はっと臨也を見ると何時もと違って思い詰めた様な臨也の顔があった
「…俺、どうしよう」
「…何が?」
「最近さ、俺まだ人の名前と顔は覚えてられたんだよね」
「…うん、」
「もう……シズちゃんとかドタチンとか新羅の顔も思い出せない…」
「臨也……」
「俺どうしたらいいの?このままじゃ…このままじゃ俺…の、の事も…顔も…声も!全部忘れる……
俺はのことを覚えていたい!」
「…大丈夫、大丈夫だよ」
「何が!どこが大丈夫っていうのさ!」
「臨也が私を忘れても、私は臨也を忘れない、私は臨也がどれだけ嫌だって言ってもそばにいるから、だから…泣かないで?」
「あ………俺………」
「…なんで泣いてるの?」
例え貴方が何もかも忘れてしまっても、私は貴方の心の中に、何時までも