第6章 5
その夜、船医さんが背中にお薬を塗ってくれた。
傷はだいぶ治っていて、明日からは動いていいらしい!
よかった!!
船医さんが広げていたお薬や医療道具を鞄にしまっていく。
『あの、この中で1番殺菌の効果が高いものってどれですか?』
医「薬に興味があるのか?殺菌効果なら1番はコレだな。刺激も強いからなかなか使わないけれどね。」
と教えてくれた。
私は、船医さんが背中を向けている間に少し手に取る。
そしてバレないようにくちびるに塗った。
塗った瞬間にヒリヒリしてきて、とっても痛かったが何とか耐えた。
船医さんは気づかずに部屋から出ていった。
私は目が覚めてからみんなが無事なことが分かると、クリスとキスをしてしまった事を思い出していた。
トイレの度に水で唇を洗った。
歯磨きだって何度もした。
それでもクリスとキスしてしまった唇を気持ち悪いと感じてしまっていた。
早くクリスとのキスを忘れたかった。
自分でもこんな事をしてバカだったと思った。
唇のヒリヒリがジンジンに変わる、、、
そこへ、
エ「ー!明日から動けるんだってなー!」
とエースがやってくる。
私は思わずお布団に顔を隠す。
エ「どうしたんた?まだしんどいのか?」
『違うの!エースのお陰で元気だよ!』
エ「じゃあ何で顔隠してんだよ。じじいに何か言われたのか?」
『それも違うよ、、、』
エ「何かあったんなら話してくれよ。」
エースの声のトーンが落ちる。
心配かけるのは悪いと思い布団から出る。
今、私の唇は真っ赤になって元の唇の3倍程に膨れていた。
『////この口見られたくなかっただけだよ。」
エ「どうしたんだよ?なんでそんな事になったんだ?」
『何にもないの。心配かけてごめんね。事故みたいなものなの。』
エースは私の髪を撫でる。
エ「言いたくない事は言わなくてもいいけどよ、、、ホントに大丈夫なんだな?」
エースの様子にすごく申し訳なくなる。少し前の自分を全力で止めたい。
でもキスされた事を言えばエースは自分を責めるかもしれないし。
だからと言ってこんなに心配してくれているのに隠しておくのもな
するとドアが遠慮がちに開く。