第5章 4
エースサイド
スペード海賊団の航海は順調に進み、シャボンディ諸島に到着した。
いよいよ新世界だ。
しかしコーティングするのに3日もかかるとはな。
クルー達とは3日後に船で落ちあう事になっていてそれまでは各々好きに過ごす事になっていた。
シャボンディ諸島に会ってみたい奴がいた。
じじいがよく言ってたもう1人の孫。
俺と同い年らしい。
孫と言っても俺と一緒で血のつながりはない。
本人も預けられたじじいもそいつの両親の事を知らないらしい。
そいつは体が弱くなかったら俺と同じでゴルボ山に連れてこられていたそうだが体が弱いらしくシャボンディ諸島の孤児院にいると言っていた。
体が弱いため戦闘には向かないが、頭がいいらしく、2人で海軍に入るといいコンビになるとか言ってたな。
じじいの話を頼りに探してみると意外とあっさりと見つかった。
話してみようとは思ってなかった。
どんな奴か見てみようと思っただけだった。
同じじいちゃんに同じく海軍になる様に育てられた奴がどんな奴なのか興味があったんだ。
孤児院の外から中の様子を見てみると、
『こんにちわ』と声をかけられた。振り向くと小さな子供を抱っこしている少女が立っていた。
じじいから聞いていた話通りの見た目にすぐにこいつだとわかる。
『もしかしてエースさんですか??』
手配書で俺の顔を知っていたのだろうか。予想外の展開に少したじろぐ。
『私はここの孤児院の院長をしていると言います。
おじいちゃんからエースさんのお話を聞いていて、一度でいいからお話ししてみたいなぁって思っていたんです。もしよかったらお茶でも飲んで行かれませんか?』
と目を輝かせて言った。
俺が黙っていると、
『あっ、急にすみません。エースさんの都合も聞かずに。』
と顔を赤らめてしょんぼりしていた。
ホントにあのじじいに育てられたのか?と思うほどと名乗った少女は、可愛らしくておだやかな雰囲気を纏っていた。
俺は無意識にお茶くらいなら、と言ってしまっていた。