第26章 25
『ロー、、、』
私はローの着ていた服を摘んだ。
ローは一瞬驚いた表情を見せ、すぐに周りの人に割れたガラスの後処理を頼んでくれた。
そして昨日の夜を過ごした建物に能力を使って移動した。
ロー「大丈夫か?どうした急に。」
ローは私を抱きしめてくれた。その体温が心を落ち着かせてくれた。
その暖かさからもまたロイドさんの事を思い出した。
どうして急に思い出す事が出来たのだろう。
ロイドさんはすごく私を大切にしてくれていた。
当時はわからなかったが、それはまるで本当の家族のようだった。
『ごめんね。なんか、急に小さい頃の事思い出して、、、悪魔の実を食べた時の事とか、、』
ロー「そうか。記憶のフラッシュバックは何が引き金になるかはわからないからな。動転するのも仕方ない。」
ローは背中を優しくさすってくれている。
ロー「落ちつくまで側にいる。」
私は、ローに感謝を告げてローの背中に腕を回した。
すると徐々に落ち着きを取り戻せた。
私はローの腕の中で自分の記憶を整理した。
私は、悪魔の実を食べた記憶こそなかったものの、記憶が抜けているような自覚は全く無かった。
どうも、私の記憶から抜けていたのはロイドさんだけのようだ。
自身の記憶にロイドさんが溶け込んでゆく。そんな感覚だった。
その記憶はとてと暖かいものばかりだった。
ロイドさんは小さい頃は時々ひまわりに遊びに来てくれていた。
しかし悪魔の実を食べてからは、会いにきてくれてはいない。
色々とロイドさんとの記憶が蘇る中、一つの記憶を鮮明に思い出す事が出来た。
私は村の子供達に捨て子だといじめられていた時があった。
そして1人で泣いているところにロイドさんが来てくれたのだ。
どうして私は捨てられたのだろうと泣く私に、ロイドさんは私のお父さんとお母さんを知っていると話してくれた。
2人とも決して私を捨てたわけではないと。
そうするしかなかったのだろうと。
ロイドさんは私を抱きしめながら話してくれた。
そして母の名前を教えてくれた。
母の名前は、ティール D ルナ
お母さんはもう亡くなってしまったらしい。
最後まで私の事を気にかけて、たくさんの愛情を与えてくれていたようだ。
ロイドさんはお母さんのためにもその名前をしっかり覚えておいて欲しいと言っていた。